みえ呼吸嚥下リハビリクリニック|亀山市アイリス町の内科、リハビリテーション科、気管食道内科、呼吸器内科、肛門内科、糖尿病内科

Q&A

訪問診療、在宅医療、往診といろいろな名前を聞きますがそれぞれどのようなものでしょうか。違いはありますか。

医療は受ける場所によって①外来、②入院、③在宅の三つに分かれます。在宅で行われる在宅医療のなかで医師が患者さまの居宅に出向き行う診療が往診や訪問診療となります。
医師が患者さまの求めに応じて予定なしに出向く「往診」、通院困難と医師が判断した方に、同意を得て定期的ないし計画的に患家に赴き定期的に診療を行った場合は、「訪問診療」となります。訪問診療を受けている患者さまが訪問予定日でない日に具合が悪くなったときに医師に来てもらった場合は往診になります。
訪問診療を受けるときに、急に具合が悪くなったときの心配があります。これに対して、「在宅療養支援診療所」という制度があります。これは①24時間対応で連絡を受け対応することができる、②緊急時に入院できる病床が確保されている、③他科の医師や他職種と連携している診療所です。ただし在宅療養支援診療所でないと訪問診療や往診ができないというわけではありません。当院は在宅支援有床診療所として登録を行っています。

ぜんそくの治療はいつまで続けなければいけないのでしょうか。

喘息の人の肺の中の空気の通り道(気道)は、せきやたんなどの症状がないときでも炎症をおこしており、健康な人に比べて狭く空気が通りにくくなっています。炎症がおこっている気道はとても敏感になっていて、正常な人なら何ともないわずかな刺激でも発作がおきてしまいます。ですから、症状がある時だけ、発作が起きた時だけ治療をしても十分ではありません。喘息には、「症状が起こらない様に毎日行う治療」と「症状や発作が起きた時に行う治療」の二つがあります。
自覚症状がない状態でも、慢性の炎症が継続しており炎症が継続することにより気道粘膜にコラーゲンが沈着し気道が狭くなり、さらに、空気が通りにくくなり発作も起こしやすくなります。
症状が起こらないようにするには、慢性の気道の炎症をおさえることが重要ですが、数年後の呼吸の状態をよく保つには慢性の炎症を継続して抑えることが必要です。つまり、喘息の治療はいつまで続けるのか、治療を継続して行うことで長く楽な呼吸を保っていただくことになります。終了するのは、咳が少なくなったなどの自己判断ではなく気道の炎症が治まったと医師が判断することができたときになります。

肺気腫は治りますか?また、もし治らない場合、毎日何に気をつけて生活すればよいですか?

肺気腫は酸素と炭酸ガスの交換を行っている肺胞が壊れ、息を吐きにくくなる病気です。破壊された肺胞を元に戻すことはできないため、肺気腫と診断された場合は進行防止と症状緩和、そして息切れによる活動量低下の予防指導が行われます。
早期発見が大切で、風邪が治っても咳や痰が長く続く、運動の後になかなか動悸が治らない、風邪をひきやすいなどの症状も多くみられます。喫煙者や喫煙経験者は特に気をつけてください。
治療としては、禁煙に加え気管支を広げる薬や肺の炎症を抑える薬、痰を出しやすくする薬がよく使用されます。肺機能が落ちるだけではなく、肺炎などをきたしやすく、軽症の時から心臓に影響します。また、息切れに伴う運動量減少や栄養不良の悪循環に陥ることが多く、専門的リハビリテーションや呼吸法、栄養摂取が指導されます。そのため、かかりつけ医や呼吸器内科に相談し治療と指導を受けながら、感染予防と運動と栄養摂取に心がけることをお勧めします。
ご相談ください。

今年こそは禁煙しようと思っていますが、よい禁煙方法はありますか?また、禁煙を成功させるアドバイスをください。

禁煙を成功させるコツは

  • 禁煙を宣言して周囲を味方につける
    仕事の日に多く吸う方は休日から始めるとよいでしょう。禁煙して2カ月程度の再喫煙率が多く周囲の喫煙や、宴会時につられての喫煙が多いものです。
  • 禁煙をすることでのメリットを理解する
    咳やたんは数日で減り、血圧の高い場合は、数カ月かけて下がってゆきます。
    心臓や胃腸の調子も数日で改善し、影響が長く残るがんの発生率も禁煙年数が増すにつれ減ります。
  • すいたくなる時期と対処方法を知る
    タバコの禁断症状は禁煙2日、2週間が強く表れ、2分間以内に収まることが多く、お茶を飲む、ガムをかむ、深呼吸して100数えるなど数分間気を紛らかす方法を準備することも大切です。
    また、薬局でニコチンガムやパッチ、禁煙外来で保険適用薬剤などを使用することで禁煙成功率を改善することができます。禁煙外来では、呼吸機能や呼気中一酸化炭素濃度の測定などを行い喫煙による影響と禁煙したことで改善したかを知ることができ、禁煙をする助けとなります。ご相談ください。

24歳女性です。小学低学年まで喘息もちでしたが、現在は治っていて病院には通っていません。
犬を飼いたいのですが、喘息の人はペットを飼わないほうがいいといわれたこともあります。いかがなものでしょうか。

ペットはかけがえのない生活の伴侶です。
しかしながら、喘息患者さまがいる家庭においては、ペット喘息を引き起こす可能性もあり、できる限りペット、その中でも毛や羽がある動物を飼育するのは控えた方が良いでしょう。
ペット喘息のおもな原因として、動物および排泄物そのものと動物の排泄物を栄養とするダニなどのアレルギー、動物の汚れの直接吸入刺激の3つがあげられます。
掃除をこまめにし空気清浄機なども併用することによりいくらか軽度にすることができますが根本的な予防は困難です。
犬や猫は毛だけではなく、フケやよだれ、オシッコにも含まれるアレルゲンも原因となります。
既にペットを飼っている場合、ペットそのものがアレルゲンとなっていないかを、血液検査などで調べていただき、予防のための対応を準備していくこととなります。

コロナウイルスに感染して1カ月たちますが、まだ咳だけ残ります。このせきでも他人にコロナウイルスをうつしてしまう可能性はありますか?仕事は言っていますが休暇に人に会っていいのかわからず、気持ちも落ち込み気味です。

コロナウイルス感染において、直接の感染時の身体的変化だけでなく、精神的変化および罹患後症状が社会的影響と合わさり問題となっています。
咳は倦怠感、気分的な落ち込み、息切れ、味覚嗅覚障害、脱毛に並び代表的な罹患後症状とされ、2022年5月の発表されたイギリスでの報告では、ワクチン接種回数により差はありますが、感染後4~8週後、現在のオミクロン株においては、おおよそ7~9%の方に見られます。
感染可能期間は、一般的に、発症2日前から発症後7~10日とされ、以降は罹患後症状があったとしても、他の人に感染させることはありません。
罹患後症状の多くは、時間経過とともに症状が改善することが多く、コロナ感染時の合併症や、以前よりもっていた、COPDや気管支喘息などの増悪をきたした方も多くみられ、隔離期間終了後も改善傾向の確認されない咳は、かかりつけ医もしくは呼吸器内科医師への相談をご検討ください。

喘息治療中です。夜寝ているときに発作が起きることが多く、不安で眠れません。何か原因があるのでしょうか。

元来、管支喘息は早朝を中心に呼吸器症状をしめすことが多くみられます。それに加え、風邪などの感染や、ほこりなどの刺激、アレルゲンの吸入やストレスによりその出方や時間、強さが変化します。
気管支壁の性状や太さは、元来、一日の中でも変動し早朝に難く細くなりやすい性質を持ちます。気温や気圧の変化はその反応を助長し、気管支喘息を持つ方はその反応が強く出ています。そのため、気温の変化が出やすい早朝に症状が出やすくなります。
寝具についたダニやほこりが誘発の原因になることや、頭部が床に近くなることにより床に落ちたアレルゲンやほこりを吸い込みやすくなることもあります。習慣的に同じ環境で発作が出る場合は、ストレス性に増悪していることも見られます。
いつもと違う時間や環境で、症状が出た場合、感染や、喘息によく似た疾患の新出の可能性もあります。かかりつけ医、呼吸器内科医師にご相談ください。

胸部エックス線画像で異常があり、淡いすりガラスのような影があるといわれました。病気でしょうか?どんな病気が考えられますか?

胸部エックス線画像でおける淡いすりガラス陰影は、間質影(かんしつえい)と呼ばれます。肺の構造は主に空気の通り道の気管支と空気と血液中のガス交換をする小さな袋である肺胞のより成り立ちます。この気管支や肺胞といった空気が入る場所の間を「間質」と呼び、ここに炎症がおきると淡いすりガラスのような影が見られ「間質性肺疾患」が疑われます。
「間質性肺疾患」とはいろいろな疾患の総称で、病原体の感染による肺炎、吸い込んだ物質のアレルギーで生じる過敏性肺炎、薬剤性肺炎、膠原病に伴う間質性肺炎、放射線治療によって生じる放射線肺炎、職業性のじん肺等があり、胸部CT、採血、呼吸機能検査などの評価を必要とします。
間質性肺疾患の症状は、せきと息切れが主ですが、熱が出る場合もあります。原因や程度、症状や予後、治療方法や効果も大きく異なります。
かかりつけ医、呼吸器内科医師への相談をご検討ください。

高齢の母が時折動くといきがしづらいと訴えます。どのように対応したらよいでしょうか。

「息が苦しい」「息が切れる」「呼吸がしづらい」「息が詰まる感じ」「空気を吸い込めない感じ」などの症状をまとめて、「呼吸困難」と呼んでいます。
体を休めているときに呼吸困難がでる安静時呼吸困難、体を動かしたりしたときだけにでる労作時呼吸困難があり、安静時呼吸困難のほうが重症なことが多く、残念ながら、労作時呼吸困難は進行するまで放置される傾向があります。肺の病気だけではなくさまざまな原因で出現し、治療が必要なことが多くあります。
肺の病気としては、呼吸困難、胸部圧迫感、咳嗽、および喘鳴(ゼイゼイやヒュヒューという音)を伴う気管支喘息、喫煙が主な原因でもたらされるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)に加え、肺炎、肺線維症または間質性肺炎、肺癌などが挙げられます。そのほかにも、心不全、狭心症または冠動脈疾患、貧血、神経筋疾患、のほかに精神的不安や過換気症候群によってもたらされます。
さまざまな原因によってもたらされ、治療対処方法も異なるため、早い段階でかかりつけ医や呼吸器内科医に相談しましょう

自分のいびきで目が覚めたり、妻からもいびきが煩わしすぐるといわれ、改善のため通院を考えています。病院ではどのような治療をするのでしょうか?

煩わしくなる明らかな激しいいびきは、眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)という病気の可能性があります。息が止まった後に大きないびきをかくようだと、特に疑わしいです。
また、SASの患者の2%は、子どもだと言われていわれ、成長ホルモンの分泌を減少させ発育に遅れをきたす可能性も指摘されています。
いびきが出るというのは、気道が狭くなっていることが多く。重度な方は低酸素になるため、体が異常事態と認識して起きてしまい体が休めないため、日中に激しい眠気が出現しさまざまな事故や効率低下の原因になります。頑張って呼吸しようとして心臓に負担を掛け、メタボリック・シンドロームや高血圧、心不全に伴うむくみや息切れ、動脈硬化、高脂血症、糖尿病の増悪に加え、心筋梗塞、不整脈、脳梗塞など致命的な病気が起こるリスクになります。かかりつけ医で相談、専門の医療機関で検査・治療を受けることが大切です。

70歳の父親が間質性肺炎の中の、特発性肺線維症(IPF)と言われました。どのような病気でしょうか。

肺炎などで粘膜や組織に傷がついても、修復、機能回復されます。しかし、長期にわたりくりかえし刺激を与えると、傷を治そうとする働きにより大量のコラーゲン線維などが肺組織の壁(間質)に蓄積されます。その結果、間質が厚くなることを、間質性肺炎と呼び、酸素と二酸化炭素を交換する肺本来の機能が低下してしまいます。 その変化が継続することにより、間質が硬くなる線維化がおこります。線維化がおこると、肺が十分にふくらまなくなり、酸素と二酸化炭素が交換しにくくなり、息苦しくなります。
原因が特定できないものを特発性間質性肺炎、線維化をともなすものを特発性肺線維症と呼びます。
IPFは高齢の男性に多く、日本ではおよそ1万数千人認められます。加齢、喫煙や感染症、生活環境などにより、患者さんにより進行の速さは大きく異なります。その経過において毎年10%程度の方が突然急速に進行する急性増悪をおこします。急性増悪はIPFの方の死亡原因の40%を占めます。
原因除去、進行防止、定期評価、急性増悪時の早期診断治療が必要な病態です。

過去に肺炎になり抗生剤の治療で治りました。固形物を食べてむせることはありませんが、水を飲むとむせやすい体質でむせこみます。水を飲んでむせやすい場合に誤嚥性肺炎のリスクを減らすために何かできることはありますか。

嚥下障害による水分誤嚥の症状となります。
対応としては、きちんと座り、軽く顎を引いてゆっくり一口ずつ飲むように心がけることが基本となり、発声訓練や嚥下おでこ体操や顎持ち上げ体操などによる予防も効果的で、肺炎のリスクを減らすには口の中を清潔に保つことが必要です。市販されている専用の増粘剤を使用して水分にとろみをつけ飲むことでむせたり、誤嚥するリスクを減らすことができます。
症状が継続する場合には、脳血管疾患や神経疾患、悪性腫瘍より来たされていることも多く、嚥下内視鏡検査、嚥下造影検査を含む検査により障害の程度を調べ、同時に採血やレントゲン検査等によりその原因を診断することが必要となります。かかりつけ医、もしくは嚥下担当医師にご相談ください。

毎年胸部レントゲン写真による肺がん検診を受けていますがこれで十分ですか?

胸部レントゲン検査は、胸部にX線を照射して、肺・心臓・両肺の間にある縦隔などの器官の異常を調べる検査です。
わが国では1990年代に実施された4つの症例対照研究において、胸部レントゲン検診受診によって肺癌死亡リスクを30 〜60%減少させることが示され、日本肺癌学会による「肺がん検診の手引き」に基づいて実施されています。それに対して、低線量CTはX線より早期肺癌発見、死亡率低下が期待されています。低線量CTによる長期の肺がん検診で10年肺がん死亡率が39%低下し、全死亡率も20%低下したイタリアの報告も見られますが、アメリカをはじめとして、重喫煙者に対するCT検診の有効性が示されているものの、非・軽喫煙者に対する有効性はまだ十分明らかにされていません。
現時点では、CT検診による死亡率減少の有無を判断する根拠が不十分であるため、対策型検診として実施することは現時点では勧められないとされ、今後の運用と活用が期待されています。

肺炎予防のために、口腔衛生に気を付けたほうがいいと聞きました。関係について教えてください。

肺炎の原因で大きな問題となっているのが「誤嚥(ごえん)」です。
健康な成人は1日約1.5リットルの唾液を分泌し、約600回のみ込みを繰り返し、舌や口を動かすことで口腔内の汚れをこすりとることで口の中の細菌を唾液とともに少しずつ強酸性環境の胃に送り、殺菌しています。
ところが、歯周病があったり、口腔内を不衛生にしていると菌が増えてしまいます。
また、細菌は歯や口腔粘膜の表面に付着し、自らねばついた多糖類を作り出して「バイオフィルム」という細菌のかたまりを形成します。歯が悪いからと軟らかいものばかり食べ、あまり会話をしない生活を続けていると、口腔内の自浄システムで細菌を減らすことができないため、誤嚥した飲食物の残りかすや唾液に混じった細菌が食事中や安静睡眠時に気管や肺内に侵入し続け、誤嚥性肺炎をおこしやすくなります。しっかりとした、歯科治療や常日頃からの口腔ケアをすることがすすめられます。必要性や方法については、かかりつけ医師や歯科医師にご相談ください。

40代男性です。肺機能検査をしたら、実年齢よりも数値がよくありませんでした。過去に喫煙していましたが、今は禁煙しています。今後どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。

肺年齢は、御自分の肺機能の値が健康な人の何歳に相当するかを示し、肺の状態を認識していただくための指標とされます。肺機能は20歳前後をピークに、加齢とともに緩やかに低下していきます。呼吸器疾患を持つ方々に、禁煙を勧め、呼吸器症状がでにくい早期での受診を促し、早期診断治療を進める目的で作成されました。
肺年齢が実年齢より10以上高い場合は、呼吸器内科やかかりつけ医に相談し、必要に応じた呼吸器疾患の確認治療に加え、合併症の有無の評価を行ったうえで、運動、栄養状態の生活習慣の改善などに取り組むことになります。
自覚症状がない段階においても、運動量が減って糖尿病を悪化させたり、動脈硬化を進めたりすることもあり、定期的な運動習慣をもち適切な栄養状態を保つことが大切になります。

以前、風邪をひいてしばらく咳がとまらなかったので総合病院にいったら、「耳鼻咽喉科か呼吸器内科のどちらがよいか」と聞かれてしまいました。どのように判断したらよいのでしょうか。

医療は多くの専門科に分かれます。上気道が耳鼻咽喉科、下気道が呼吸器内科と分けて考える方も見えますが、耳鼻咽喉科と呼吸器内科は気道に関する分野をともに受け持ち、非常に密接な関係をもち、分けて考えることはできません。
肺炎やCOPD、肺癌、気管支喘息を心配されているならば呼吸器内科を受診されるのがよいでしょう。専門科は、専門分野の疾患を予防診断治療するだけではなく、他の専門科の治療につなげるという役目を持ちます。
私自身、咳が長期間継続する多くの患者さんが受診され治療指導を行いますが、耳鼻咽喉科や、消化器内科、内科への紹介を行うことがよくあります。毎年の風邪症状を服務病態の経過もよく知っているかかりつけ医の先生がいればどこに相談するのがよいか勧めていただけると思います。

タバコをやめたいと思いますが、なかなかやめられません。禁煙外来ではどのようなことをするのでしょうか。

禁煙治療は12週間が基本で、診察を5回受けることになります。
初回の診察では、ニコチン依存症の有無をチェックして、健康保険等をの適応を含めた状況を判断します。次に、呼気に含まれる一酸化炭素量を調べます。健康状態を確認の上、禁煙治療が可能と判断されたのち、禁煙開始日を決めて、禁煙補助薬の使い方と起きるかもしれない副作用や禁煙により起きる一時的な変化について説明と対処法などのアドバイスを受け、禁煙補助薬を選択します。
受診時には、患者さまに合ったタイミングで禁煙継続に向けての身体的精神的アドバイスが得られます。治療中に大切なことは、医師に相談なく中断しないことです。すべての診察を受けた人では、2人に1人が禁煙に成功しています。
一方、初回の診察で中断した人は4.7%です。それだけ、一人で禁煙するのは難しいということです。禁煙外来にうまく参加してタバコをやめていきましょう。

今度、気管支鏡検査を受けます。どのような検査でしょうか、気をつけることはありますか。

痰に血液が混じったときや、原因不明の咳が続く場合、胸部レントゲンやCT、喀痰検査で異常がみられ肺炎や炎症、感染症、肺癌が疑われたときなどに、診断のために、口または鼻からのどを通して気管支鏡を気管や気管支の中に挿入して内腔を観察したり、組織や細胞、分泌物などの検体を採取する検査を行います。
気管支鏡の太さは約3から6mmくらいの細くて柔らかい管で、一般的な胃カメラよりかなり細くできています。
通常は安全に施行される検査ですが、専門性の高い検査で低頻度ではありますが合併症がおこる可能性があり、必要性と内容を主治医とご相談した上でいくつかの注意点があります。
通常、検査前には、鎮静と気道の分泌を抑えるために筋肉注射とスプレーを用いた喉への局所麻酔を行い、検査前約3時間、および検査後約2時間は絶飲食となります。普段内服している薬の種類によっては一定期間中止が必要なこともあり、緑内障や前立腺肥大症、気管支喘息および心臓病の既住のある方は薬剤等の使用に関して注意が必要なため検査を行う主治医に必ず相談してください。

睡眠中でも唾液などの誤嚥をしてしますことがあると聞きました。どのように予防したらよいでしょうか。

通常1日に約800回近く嚥下をするといわれています。その内訳は食事中200~300回の食べ物や飲み物を飲み込むときだけではなく、のどに流れてくる唾液などを飲み込むために繰り返し嚥下しています。睡眠中は50回前後と嚥下回数が減るだけでなく、嚥下反射や免疫機能も減弱し、呼吸も浅くなり、深い眠りのときほど減少します。また睡眠時無呼吸症候群の方も嚥下回数が減少するといわれます。
そのため、元から嚥下障害がある方だけでなく、健康な方、特に高齢者には、知らない間によるにもたらされる誤嚥性肺炎となることがあります。
誤嚥しても肺炎にならないように寝る前に口やのどをきれいにケアすること、寝る前の飲食を控えること、胃酸の逆流があるかたは右を下にした側臥位や少し上半身を上げて寝ることが薦められます。
その方の病状により、薬や歯科治療が効果的なこともあります。かかりつけもしくは専門の先生にご相談ください。

最近フレイルという言葉をよく見かけますが、どのようなことでしょうか。元気に長生きしたいと思ってます。

現在、病気にかかっていても治療を行いながら元気に長生きしてゆくことが重要視されています。
フレイルは、「虚弱」と訳され、日本老年医学会において2014年に提唱されました。
厚生労働省研究班の報告書では「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像」とされ、周囲の方や本人が早期に気づくことで治療や予防が可能な状態とされています。
早期発見の基準として、体重減少:意図しない年間4.5kgまたは5%以上の体重減少、疲れやすい:何をするのも面倒だと週に3-4日以上感じる、歩行速度の低下、握力の低下の5項目からなるFriedの基準があります(3項目以上フレイル)
対策として、タンパク質を十分とり、運動を行い、筋肉量の維持増加や骨密度維持をすることが重要です。

現在、父は末期がんで入院していますが、入院生活が合わず、在宅で治療を受けたいといいます。家族できちんと介護できるのか不安ですが、在宅医療のメリットと考えておくべきことを教えてください。

お父さまのこと、ご心配ですね。
癌にかかわらず人生の終末期においては、その人と家族さんたちそしてかかわる方たちがいい人生だったとおもうGOOD DEATHという考えが必要となってきます。ご本人の望むことをもとに、これまでのすごされてきた人生と家族さんの思いに医療的な治療の必要性有効性やこれからの予想を合わせて一番いい人生を過ごすことが可能となる環境を医療関係者を含むかかわりあう人たちで考えることとなります。
在宅は、これまでご本人が作り上げてきた環境で人生の大部分を占め、望ましい環境といえることがおおく、現在の医療介護福祉の制度においては、訪問診察や訪問看護、訪問介護そして訪問リハビリなどを在宅で受け、家族さんたちとともに協力しすごすことができ、介護疲労やいざというときの入院サポートができる環境となっています。
主治医の先生にご本人そして家族さんの希望を伝え病状を含めた相談し、いい人生を過ごせるように考えていただければと思います

妊娠中なのですが風邪をひいてしまい、現在、咳だけが残っています。夜ひどいときには、喘息のような感じになりよく寝れません。病院へ行ったほうがいいのでしょうか。

医療機関へ行き、医師と相談して治療を受けてください。
風邪の後の咳が続く原因はたくさんありますが、風邪の治りかけから咳や喘息のような呼吸音が聞こえる場合、気管支喘息や咳喘息が考えられます。
喘息の方の場合、妊娠をすると三分の一の人では変わらず、三分の一の人では悪くなり、残りの三分の一の人では反対に症状が良くなります。悪くなる例では妊娠29~36週で悪化することが多く見られます。
妊娠にあたっての最も心配されるのは胎児への影響でしょう。妊娠をすると母親は胎児と自分の体の分を呼吸することになるので、喘息などの呼吸器の病気はきちんと治療する事が大切です。喘息発作を起こせば、母親だけでなく胎児も息苦しくなりますし、母親の酸素不足は胎児に深刻な影響を与え、咳は腹圧をあげる原因にもなることがあります。
妊娠中の投薬は第4週から第16週にかけて特に注意が必要とされます。幸い、現在では薬剤の妊娠中の胎児への影響の情報が十分得られている薬剤を選んで使用することができます。ぜひ、医療機関へ行き、医師と相談し、投薬を受けて、出産を行ってください。

80代の父が少し前に誤嚥性肺炎になりました。今後、嚥下障害のリハビリが必要といわれましたが、リハビリはどのようにするのでしょうか。嚥下サポート食などを利用したほうがいいのでしょうか。

要介護、要医療状態の高齢のかたがたにおける肺炎の多くは。嚥下障害に伴う誤嚥性肺炎です。誤嚥性肺炎のリハビリテーションは、多くのかかわりかたがあります。
やわらかく炊いたりまとまりのいい嚥下サポート食などの食べやすい食事に変える方法、水分で飲むせが多い方に増粘剤を混ぜとろみをつけたものにする方法などの食事形態を変える方法。
飲み込みやすい姿勢や食べやすい道具を選択したり、発声や呼吸、飲み込むタイミングのリハビリテーションを行う方法。
口の中の清潔や歯の調整、口や舌、唇などの動きを改善させる方法。などがあります。
多くの医療福祉職種の方々がかかわっています。また、その障害の状態により効率的なかかわり方があったり、投薬などの治療が必要となることもよくあります。かかりつけ医の先生や専門の先生にご相談してみてください。

病院での禁煙治療はどのようなことを行うのでしょうか。

禁煙は、がん予防のために、費用がかからず、副作用も少ない方法であるとされています。
平成18年4月から一定の条件を満たせば健康保険が適応され、禁煙治療をクリニックや病院で受けられるようになりました。
敷地内が禁煙、禁煙治療の経験を有する医師などの配置、呼気COモニター(呼気中の一酸化炭素濃度を測定し喫煙の程度をモニタリングする)の配備などの条件を満たした医療機関に限られています。
ニコチン依存症に係るスクリーニングテスト(TDS)で、ニコチン依存症と診断され、ブリンクマン指数(=1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上の方が禁煙を自主的に希望され、当該治療を受けることを文書により同意した方が保険適応となります。
習慣的喫煙は、精神的依存と肉体的依存(ニコチン依存)の両面をもち、禁煙を難しくしています。そのため、精神的依存についてのカウンセリングを行いつつ、肉体的依存に対して薬物治療も交えてしっかりと治療することが必要です。

妻がぜんそくと診断され喘息は大人になってからでも発症するということを知りました。ぜんそくと診断されたら、今後どのようなことに気をつけたらいいですか。また、予防はできますか。

子どもの5~7%、大人の3~5%が気管支喘息にかかっているといわれています。
主な原因はアレルギーと気道過敏症といわれています。子どもの喘息は、アレルギーが原因のことが多く、大人は、原因が明確に特定できない場合が多いとされています。
気管支喘息は、軽度であっても発作を繰り返すことにより症状が増悪するため、進行性疾患といえます。
診断されたときには、症状に合った投薬を含む治療を受けること、悪化させる要因を避けること、生活習慣を整えることが大切です。
呼吸苦を悪化させる要因にアレルギーの原因となるアレルゲンのほかに・不適切な運動・喫煙・過労・ストレス・風邪などの感染症・大気汚染・天候・気温の変化・香水などの刺激臭などがあります。
生活習慣においては、ストレスをためない、禁煙、タバコなどの煙をさける、十分な睡眠をとる、適度な運動を継続することが大切です。
症状に合わせた指導と、治療を継続することで進行と発作を防ぐことが大切です。

タバコは肺に悪いという印象がありますが、他のがんにも影響があるのでしょうか。

喫煙と肺がんの関係はよく知られていますが、ほかにも、さまざまな部位のがんが喫煙と深い関係があることが指摘されています。肺癌、喉頭癌のほか、胃癌、肝癌、膵癌、膀胱癌、子宮頸癌が増加するほか、受動喫煙によっても肺癌、副鼻腔癌、脳腫瘍が増加します。
生活習慣において適度な運動、十分なビタミンを含む栄養摂取、禁煙、過度の飲酒を避けることが健康維持には大切なことです。喫煙者の方は飲酒頻度や量が多く、やせていて、緑黄色野菜の摂取量が低いことが多いとされ発生を増やす原因となっています。
日本人全体では、毎年約48万人(男性28万人、女性20万人)が何らかのがんにかかっています。癌にかかった方々の男性の29%(約8万人)、女性の4%(約8千人)、合計約9万人は、たばこが原因で起こっているとみられます。
平成13年度の国民栄養調査における喫煙率は、男性で46%、やめた人は28%、女性では10%、やめた人は3%です。男性でかかったがんの29%、死亡したがんの33%はたばこを吸っていなければ防げたとされます。禁煙を含む生活習慣の改善が皆さんの健康を守ることになります。

70代男性です。ご飯のときにむせることが多くなってきました。誤嚥性肺炎の予防について教えてください。

誤嚥とは、唾液や食物などが気管に入ってしまうことをいい、誤嚥を繰り返し起こすことで引き起こされる肺炎を誤嚥性肺炎といいます。
高齢者は全身機能の衰えにともない嚥下機能も低下し、むせやすくなったり、口のなかが乾燥して食物を飲みにくくなったりします。
誤嚥性肺炎のうち、食事時の誤嚥によりおこるものの予防には、

  1. 食事前には、口やのどの動きをよくし唾液を出すために食事前に口や舌、首、肩の体操や発声を行う。
  2. 食事前後にはうがいや歯磨きで、口の中を清潔にする。
  3. 食事時には、両足を床につけしっかり座って、噛む力に合わせた硬さと大きさの食事をゆっくりとあわてないで食べる。

などに加えて、歌ったり、散歩をしたり呼吸や発声する力を普段からつけておくことも大切です。
ご飯のときにおきるむせこみに関しては、加齢に伴う機能障害だけでなく、脳や神経の病気、口や喉、食道の病気が原因のこともあり、肺炎とあわせ治療やリハビリテーションが必要となることもあります。増悪するときには、早めにかかりつけ医に相談しましょう。

60代の母は、先日風邪をこじらせて、軽い肺炎になっていたことがあります。肺炎の予防にはどのようなことに気をつけたらよいのでしょうか。

肺炎と聞くと、風邪をこじらせた、冬に多いはやりやまいと思われますが、風邪やインフルエンザだけでなく、高齢者においては、時期に関係なく持病の悪化、や嚥下障害(飲み込む機能の低下)や抵抗力(免疫力)の低下によりかかることが多くみられます。肺炎の原因となる細菌やウイルスは身の回りに普通に存在しています。肺炎の原因菌として一番多い肺炎球菌は、高齢者の約3~5%の人の鼻や喉の奥に常在します。肺炎の重症化する因子として、脱水、高齢、性別(男性)、悪性腫瘍の合併、持病の増悪などがあります。
肺炎予防には、うがい・手洗い・マスクの着用などがあります。日頃から、持病の治療、禁煙、規則正しい生活、バランスのよい食事、運動などからだの抵抗力(免疫力)を高め規則正しい生活を心がける、高齢になると飲み込む力も弱くなるためゆっくりよく噛み落ち着いて食事を取る、口の中を清潔に保つ、肺炎球菌ワクチンを接種するなども大切です。

50代の夫は、最近、息切れすることが多いようです。本人は年のせいだと言いますが、COPDなのではと心配です。最近は、タバコの本数を減らしているそうですが、改善できるものでしょうか。

血管年齢、骨年齢と同様に肺年齢というものがあります。20歳をピークに自然に肺の機能は性別により異なりますが、一定量減少してゆきます。そのため、通常は50~60歳での息切れは認められません。
禁煙は息切れに対し効果的で、一般的に、数十分で血管が広がり手足の血行がよくなり、8時間で血液中の一酸化酸素濃度が正常化し、酸素濃度が改善、数日で嗅覚・味覚が改善し食事がおいしく呼吸が楽になり、数週間で血流が改善し肌もきれいになりはじめたのち、1~9カ月で息切れが改善します。
しかしながら、息切れはさまざまな原因や病気で起こります。他の内臓、例えば心臓や血液などの病気や栄養不良、運動不足が原因で息切れが起こることもあります。生命に関わる重大な疾患が潜んでいることもあり注意が必要です。医療機関への相談をご検討ください。

60代の母が、風邪をひいてから3週間ほどたっても、咳だけ続いています。「痰が出なくなったからもうすぐ治る」と言い、病院受診をしていません。乾いた咳が続いていますが、このまま様子を見ていていいのでしょうか。

咳嗽は、非常によく見られる症状で、近年増加傾向にあります。3週間以上継続するものを遷延性咳嗽、8週間以上のものを慢性咳嗽と言います。咳嗽は元来、気道内に侵入した異物を体外にだすためのものです。その原因としては、呼吸器・循環器(心臓)疾患が多いものの、胃食道逆流症のような消化器疾患や心のストレスも原因となることがあります。痰の有無により、痰を伴う湿性咳嗽と伴わない乾性咳嗽に分類されます。湿性咳嗽の治療において痰を減らさずに咳を収めようとすると、痰がたまって肺炎を起こす可能性があります。
原因疾患の重症度を考えると、肺癌や間質性肺炎、感染性のある肺結核のような予後不良で重症な病気も長期の咳の原因となります。これらを、胸部X線、聴診、喀痰検査などで否定したうえで、副鼻腔気管支症候群、咳喘息・アトピー咳嗽、感染後咳嗽などの臨床診断を行い治療します。まずは、かかりつけの先生にご相談の上、治療効果が得られない場合や一且効果が出ても再度増悪する場合には、呼吸器内科での相談をご検討ください。

たびたび『肺結核』のニュースが流れてきますが、どのような病気なのでしょう

結核菌という細菌の感染によって発症する肺を中心とした感染症であり、新型コロナ感染と同じく空気感染(飛沫核感染)が主な感染経路です。日本でも他の先進国の中では多く毎年約2万人余り発生しており注意が必要です。日本では結核の予防接種(BCG)が義務化されていることもあり、結核菌に接触しても5~10%程度しか感染しないと考えられており、感染しても、発症しない保菌状態で経過する方も多くみられ潜在性結核感染と呼ばれます。保菌状態の方も体調の変化に伴い発症することも多く、倦怠感、盗汗、せき、たん、血痰、喀血を起こし進行すると肺に強い炎症をきたし、他の臓器や骨に広がることもあります。
結核の診断は痰や胃液やリンパ液、髄液など体液で結核菌を確認しますが、なかなか見つからないことも多く、血液検査を合わせて行い、治療には複数の抗結核薬を長期間用います。結核が心配な人や治療したい人は、かかりつけ医や呼吸器内科にご相談ください。